心はおしゃべり

しゃべる人の少ない主婦のつぶやき日記

令和のLOVE TRAIN

その日私は近場のスーパーで朝市の野菜を物色していた。
週に一度、午前中のみ安く売られる野菜とお惣菜。
最近はタイミングを逃し、買えていなかった。
お目当ての野菜をかごに入れ、やれやれとスーパー内の100均コーナーへ移動した。
必要最小限を置いてあるだけのこの場所で、それでも何か新しいものがないか見て回るのが好きだ。
そんな時、私ははっとした。

店内で今大流行の曲、テレビで聞かない時はない。
YOASOBIの「夜に駆ける」が流れ始めたのだ。

「うそでしょ!」

私はそう叫びそうになって、すんでのところで口をつぐんだ。
ショックだった。

町内にはJAのスーパーが有り、町民のほとんどはメインの買い物はそちらでする。
しかし、JAより1時間長く営業しているこの自宅に近いスーパーも、なくてはならない存在だ。
もともと人口の少ない町だ、町外で働いている人は買い物はそちらですませて帰ってくるし、失礼ながらおそらく儲けはないだろう。そんな中で店を閉めることなく、朝市を開催したり、地元の野菜と果物を扱ったり、近隣の市町村の美味しいお菓子やソーセージ、ジャム、お茶の葉、漬物、乾物なども置いてあったり。たまにはは県外お取り寄せのお菓子があったりして、お客さんを飽きさせない経営をして頑張っているのだ。

そんなこのお店に通い始めて2ヶ月近くなっていたある日、何の気なしにBGMを頭の中で口ずさんだ私は、その時、その瞬間にもまた、
「うそでしょ!」と声をあげそうになった。

その曲がTMNの「LOVE TRAIN」だったから。

私の思春期を彩ったその曲が、よもや令和のスーパーで流れるなんて…

いつも渋い選曲のお店ではあると思っていた。
セクシャルバオイレットや夜霧よ今夜もありがとう。
マカレナにスパイスガールズワナビーなど。
スーパーにありがちな歌なしの変なパソコン音楽ではない、そのままの楽曲で、全く予測不可能のヒットソングが流れる店内。
個人的にかなり好感を持っていた。
この曲懐かしい!この演歌、カッコいい!なんて思うたびに、脳が活性化してるきがしていました。

そこに来ての、LOVE TRAIN
これによって、私のこのお店に対する好感度はマックスに達してしまったのです。

令和にLOVE TRAINを聴きながらお買い物出来るなんて…なんて店だ!

それから1年と少したった今。
YOASOBIのあとにniziuの曲が流れ始めて私の心には悲しみを秘めた諦めが込み上げました。

私の令和は今、始まりました。

ちなみに「LOVE TRAIN」、30年前の曲でした。
時の流れに、ぞっとしました。